無形文化財 田宮流居合
 田宮流居合のみのかね=規矩準縄・基本のことがら

 

○ 手の用

 

 手首に三種の別 あり、一は切手と曰い手首は凝り詰りなく、また上り下りもせず、伸縮せず能くしまりたることを謂う。構えたるとき叉打込む時、突き出す時此の切手なるべし。叉請手(留手)と曰ひ手首の縮むることあり。是れ受くる時の手首の用なり。留むる時は手首を縮めて受けざれば、力に任せて大太刀等を打ち下げられ、受けるるままに切らるるものなり。叉延び手(抜け手)と曰い手首のしまり宜しからずして、切手より延び過ぎたるとまた「詰り手」と称し常に請手の如く寛かなること能はざると叉柄を上方より握るべきを横より握る。この三種の病あれば能くこれを分ち改め切手、請手の二種に移すことを習はすべし。(田宮流伝書『口伝』より)